Minstrel☆Sanctuary

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空の音

  
 

空の音水の音して小鳥来る


なんばんきせるなんばんきせる魔法解く


まらうどに月光の椅子置いてあり


天使来てふうせんかづらの種落とす


火祭の果てけりふつと足の裏


行き先を知らず水澄む國にをり


温室で眠つてしまふそんな人


ランプ小屋から冬麗のかまきりが


遠くまで旅する猫や渇水期


着ぶくれてひとつひとつが科白めく





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紫野からの帰り道、雪のような白いものが空から舞い降りてきて、目の前を過ぎった。綿虫だ。大綿、雪婆、雪螢。掌の上で蒼く儚い耀き。冬が来たんだなと実感する刹那。
 数年前、なぞやしきの企画展に俳句を出展。ご縁に導かれるように、京大植物園観察会、京大俳句会へ。自然に触れたり、句座を結んだり。いつか写真の面白さに目覚め、いっそうの豊穣時間が流れてゆく。
 企画展に作品を発表すると、友人知人はじめ多くの未知のかたが訪ねて下さる。人と作品が空間で結ばれ、心地よい緊張感の中で作品は脈動を始める。そんな場の魅惑に引っ張られ、写真と詩のコラボレーションという小宇宙を漂泊する愉悦を見つけてしまった。
 興福寺の阿修羅に再会したとき、時間の大河の中で磨耗した記憶は、幾度も修復され鮮明に甦ることを体感。優れた作品とは、写生を超えた意識的無意識的な想いの多重露光だ。重ねるほどに、作品の透明度は増すだろう。良きものに触れ、その印象を自身の記憶や想いに重ね紡いでゆけたらと密かに願う。
 俳句は心を映す自身の鏡。いまこの星で起きているコトやモノに共鳴し共振する。そんな鏡面の煌き、曇り、刹那のゆらぎを掬い取ってくれるのが季節の言葉=季語だ。季語が標となって自在に心の襞へ分け入ってゆく。何処から来て何処へゆくのか。幻燈のように移ろいゆく銀河のほとりで、マイナスをプラスに、そんな転換の境地をこころざす。







京大俳句会会報   2011-11






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by minstrel1209 | 2012-12-09 20:07 | poem